【中小企業技術・経営力評価制度の書き方】(1) 製(商)品・サ-ビス①新規性・独創性の内容

これまで本制度の成り立ちや評価点の考え方などをお伝えしてきました。

今回からは中小企業技術・経営力評価制度の書き方を具体的に見ていきましょう。

目次

(1) 製(商)品・サ-ビス ①新規性・独創性の内容

あらためて評価書に記載されている「①新規性・独創性」の内容について見てみましょう。

評価対象事業の技術・ノウハウ、製品・サービス、管理運営技術、ビジネスモデルに関する新規性・独創性について評価を行った。ここでの評価は学術的観点でなく事業的観点に基づくものである。

実際の評価書では以下のような項目が記載されます。

・会社の概要・沿革

・製品やサービスの例

・ビジネスモデル

こうした内容を網羅しながら新規性・独創性について評価をしていきます。

製品やサービスに関する内容は評価者によって濃淡が分かれる

実際の評価書を見ると、製品やサービスに関する内容については評価者によって一部、次項の「②優位性とその維持継続」で詳しく記載する、あるいは重複するケースもあります。

というのも、製(商)品・サービスを評価する視点として、「①新規性・独創性」と「②優位性とその維持継続」があり、製品の特長を説明するとしても「①新規性・独創性」で大きく評価するのか、「②優位性とその維持継続」で大きく評価するのか、あるいはその両方で大きく評価するのか。(低く評価する場合も同様)

いずれの項目で強く訴えかけるかによって、主として書く場所が変わるからです。

例えば

製品自体の独創性を高く評価したい

①新規性・独創性でその特徴を大きく取り上げて独創的であると考える理由を記載する
②優位性とその維持継続では、特徴は簡単に書き、その状態を維持継続できるか記載する

製品自体の優位性を高く評価したい

①新規性・独創性では製品の概要だけ記載し独創性はそれほどないと記載する
②優位性とその維持継続では、特徴を大きく取り上げていかに競合と比べて優位性があるかを記載する

というように評価者がどこで何を訴えかけたいかによって何を書く、何を書かないかが大事です。

サンプルの内容の解説

ここからはサンプルを見ながら内容を解説していきます。

他の項目もそうですが、概ね1ページの中に記述と評点が盛り込まれます。ただ、一部提示するデータ量が多い、評価対象企業を知るうえで把握しておくべき情報が多い項目については2ページにまたがることもあります。

まず(1)事業概要が記載されます。ここが会社の概要・沿革にあたり、どのような地域でどのような業種を営んできたか、大きな出来事があれば記載します。

このサンプルの場合は、ターニングポイントとして二代目社長が承継した後、現在の当社の強みである「●●製品」への取組みを開始したことが成長につながったことを評価しています。

続いて(2)当社の製品構成です。これが製品やサービスの例に当たります。

通常はここで製品の写真や特徴が記載されることが多いのですが、このサンプルでは総括程度しか触れていません。

これはこの会社について、製品単体ではなく製品群やそれを形成してきたビジネスモデルを評価したため細かい製品の話は次項の「②優位性とその維持継続」に回したという事情があります。

また次回の更新「②優位性とその維持継続」を紹介する際にお伝えしますが、製品開発体制に課題があり、維持継続の評価で製品について詳しく取り上げるためという意図もありました。

最後に(3)当社のビジネスモデルです。この項目にはサンプルのようなビジネスモデルの俯瞰図が付けられます。サンプルは簡易なものですが、取引先名や取引金額も記載したものが主流です。

レイアウトの都合でそのままの流れで記載されていますが、項目に対するまとめの文章が最後に記載されています。

・当社は、取引先の要望に応えた高付加価値の製品を展開することで、他社にない特徴的な製品群や製法を確立してきた。結果として売上高の拡大と安定化に貢献しており、高く評価できる。

評価点数が3(普通)の場合は省かれることも多いですが、4や2の場合は、「専門家としてこういう理由で〇点にしました」という結論が付けられます。

次回は「②優位性とその維持継続」を紹介します。

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この記事を書いた人

中小企業診断士として独立後12年にわたり主として事業再生の現場支援に従事してきました。支援現場では事業性評価ツールが有効に働く一方、形式的な運用で本質を見落とす場面も数多く見てきました。そうした課題を乗り越えるため、現場視点の情報共有を目的に本プロジェクトへの参加を決めました。

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