【舞台裏公開】すべてはここから始まった。事業性評価プロジェクト、第1回キックオフ会議レポート

【舞台裏公開】すべてはここから始まった。事業性評価プロジェクト、第1回キックオフ会議レポート

皆様、あらためまして、この事業性評価ツールマガジンの管理人を拝命しております、中小企業診断士の西本です。

熱気に満ちた一夜、私たちの挑戦が産声を上げた日

この「事業性評価ツールマガジン」でご紹介している、中小企業の生産性向上を目指す調査研究プロジェクト。その公式な事業応募(3月17日締切)より少し前のこと、令和7年3月11日の夜、私たち有志によるオンライン会議が、静かな熱気の中で開かれました。

それは、まだ正式なプロジェクトとして認められる前の、まさに「挑戦が産声を上げた日」でした。

そのため、私たちのプロジェクトがどのような想いと議論から始まったのか、その原点を皆様に共有したいと思います。完成された報告書では伝わらない、生々しい議論の様子、そして私たちの情熱の源泉。この「舞台裏」を公開することで、皆様にも私たちの仲間として、この挑戦の道のりを共に歩んでいただければ、これほど嬉しいことはありません。

すべては、ここから始まりました。

目次

なぜこの挑戦を?プロジェクト申請を決めた「時代の要請」

あの3月11日の夜、私がメンバーにこの挑戦を提案した背景には、一つの重要な事実がありました。

「昨年、国の法律が一つ、静かに成立したのをご存知でしょうか」

会議の席で、私はメンバーにこう問いかけました。その法律の名は「事業性融資推進法」 。不動産担保や経営者保証に依存しない融資、つまり事業の将来性そのものを評価する融資を推進するための法律です

しかし、この法律は少々厄介です。すでに成立し、最長で2026年12月までの施行が決まっているにも関わらず、その運用に不可欠な詳細ルールがほとんど決まっていないのです。例えば、法律の目玉である、無形資産まで一体で担保とする新しい権利、「企業価値担保権」 。これをどう評価し、どう登記するのか。あるいは、私たちのような支援専門家が、国から「認定事業性融資推進支援機関」として認められるには、どんな基準が必要なのか 。その具体的な中身は、まだ誰も知りません。

私は、この「決まっていない」状況にこそ、絶好の機会が眠っていると確信しました。

「国が詳細を決めるのを、ただ指をくわえて待つのか。そして、決まったルールに後追いで対応するだけでいいのでしょうか」 「ルールが決まっていない今だからこそ、改めて私たち現場の専門家が、兵庫県にとって、そして支援を待つ中小企業にとって、最も価値のある事業性評価ツールの活用モデルを研究し、作り上げ、国や県に『この使い方がもっとも有効だ』と示すべきではないか」

私の言葉に、オンライン会議の画面の向こう側で、メンバーたちの目の色が変わるのが分かりました。これは、単なる調査研究ではない。来るべき時代のあるべき姿を、私たち自身の手で創り出すための、先駆的な挑戦なのだと。その夜、参加した全員の覚悟が、確かに一つになったのです。

チームの誕生:リーダー選出とそれぞれの覚悟

「時代の要請」という、私たちが挑むべき課題は明確になりました。しかし、壮大な挑戦には、それを推進する強力なエンジン、すなわち「チーム」と、その方向性を定める「リーダー」が不可欠です。

満場一致で決まったリーダーと、運営を支える覚悟

会議の議題は、自然とプロジェクトの体制づくりへと移っていきました。誰がこの船の旗を振るべきか。議論の中、満場一致で一人の人物に白羽の矢が立ちました。西口延良さんです。銀行員時代に中小企業の倒産を目の当たりにし、「企業を支援したい」という強い使命感から診断士の道へ進んだ西口代表。25年の経験と神戸に根差した現場主義は、このプロジェクトの顔として、これ以上ない適任者でした。そして、僭越ながら私、西本が管理人となって実質的な運営を担うことで、西口リーダーを支える体制が決まりました。

それぞれの現場から持ち寄った、譲れない「問題意識」

しかし、このチームの強みはリーダーだけではありません。集まったメンバー一人ひとりが、このテーマに対して譲れない信念と、独自の専門性を持っていました。

事業再生の現場を主戦場としてきた冨松さんは、「ツールが形式的に使われ、本質を見失う場面を数多く見てきた」と言います。その課題意識こそが、私たちの研究を現場視点で支える要です。

一方、豊富な事業性評価の経験を持つ上田さんは、あえてツールに懐疑的な目を向けます。「ツールは企業を型にはめるもの。多様な価値観や思いを網羅できない」。その彼の問題提起こそが、私たちが単なるツール礼賛に終わらず、より良いものを目指すための羅針盤となります。

そして、企業の「見えない強み」を価値に変える専門家である原さんと藤原さん。100社以上の知的資産経営報告書を手掛けた原さんは、「『作って終わり』ではなく『使って育てる』仕組みが重要だ」と力説します。藤原さんもまた、企業の強みを掘り起こし、成長の喜びを共有することを自らの使命としています。

プロジェクトの価値を飛躍させる「第一人者」の監修

さらに、この私たちの挑戦に、この上なく心強い「監修者」が加わってくださることになりました。森下勉先生です。

森下先生は、日本でいち早く「知的資産経営」を提唱し、累計2,000件以上の企業支援を実践されてきた、まさにこの分野の第一人者です。国が推進するローカルベンチマークの使い方ガイド作成にも関わってこられました。見えざる資産を可視化し、経営力強化に繋げる実践的モデルを構築した先駆者である森下先生に監修いただけること。それは、私たちの研究に圧倒的な深みと信頼性を与えてくれるものであり、このプロジェクトの価値を飛躍的に高める出来事でした。

少数精鋭で挑む。チームが共有した「質の追求」

これだけの覚悟と専門性を持った布陣です。会議では、今後のメンバー追加についても慎重な議論が交わされ、数合わせではなく、この高い志と責任感を共有できる仲間でなければ意味がない、という方針が確認されました。

こうして、私たちのチームは名実ともに誕生したのです。この頼もしいメンバーと共に、いよいよ具体的な挑戦の第一歩を踏み出します。

具体的な第一歩:会議で決まったこと

熱意を具体的な行動へ変えるため、会議では多くの「次の一歩」が決定されました。私たちの挑戦が、ただの語らいで終わらないための、具体的で力強いアクションプランです。

最優先事項:公式な挑戦への第一歩

何よりもまず、この想いを公式なプロジェクトとして始動させること。3月17日という目前の締切に向け、西口リーダーが調査研究事業の要望書を協会へ提出するという最優先事項が、全員で確認されました。採用かどうかの発表は4月中旬、そして正式なる事業スタートは総会:6月26日と先になる見込みであることが共有された。

情報共有基盤:チームの連携を加速させる

これから始まる濃密な議論を円滑に進めるため、私、西本が迅速な情報共有の基盤としてFacebookグループを立ち上げ、メンバーを招待することも決まりました。チームの連携を加速させるための、デジタルな作戦司令室です。

活動計画:ゴールから逆算したロードマップ

まずこの研究会の発表会の日程を参加者にて11月14日(金)としました。この挑戦は長丁場です。4月以降の定例打合せを設定すると同時に、早くもゴールである調査研究報告会開催を見据え、会場を確保するという具体的な活動計画も立てられました。常にゴールから逆算し、計画的に進める。私たちの決意の表れです。

研究の核心:最終ゴールを見据えて

もちろん、計画だけではありません。研究の核心である、金融機関や中小企業へのアンケート・インタビュー項目の検討に直ちに着手することも合意しました。そして改めて、「実効性の高い評価モデルの構築」と、その先にある「兵庫県への政策提言」という私たちの最終ゴールを、全員で強く再確認したのです。

まとめ:私たちの挑戦は、まだ始まったばかり

今回は、私たちのプロジェクトが産声を上げた、3月11日のキックオフ会議の模様をお届けしました。

時代の要請を前にした熱意、最高の仲間との出会い、そして具体的な行動計画。すべては、あの夜の小さなオンライン会議室から始まりました。

そして、あの日から約3ヶ月が経った本日、2025年6月15日。皆様にお伝えしたいのは、あの夜に灯った火は、今もなお、そして日に日に大きく燃え上がっているということです。私たちの申請は無事に採択され、プロジェクトは本格的に走り出しています。すでに金融機関へのヒアリングも始まり、現場のリアルな声が続々と集まってきています。

これからこの「事業性評価ツールマガジン」では、各メンバーによる事業性評価ツールの深掘り解説や、調査の進捗を、随時発信していきます。

私たちの挑戦は、まだ始まったばかりです。11月の成果報告会で、皆様に最高の提言をお届けできるよう、チーム一丸となって全力で走り抜けます。

どうぞ、私たちの今後の進捗にご期待ください。そして、この挑戦の目撃者となり、時には仲間として、共に歩んでいただければ幸いです。

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この記事を書いた人

西本文雄のアバター 西本文雄 管理人

長年大手電機メーカーで培った技術と市場洞察を活かし、中小企業診断士として独立後15年、経営コンサルタントとして成長戦略と課題解決を支援。しかし、事業性評価に基づく資金調達の難しさに課題を感じ、「事業性評価ツールマガジン」を構想。この情報サイトが、中小企業経営者や金融機関、支援者の皆様の未来を拓く一助となれば幸いです。

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