【内閣府公式】経営デザインシートの様式とダウンロード方法を徹底解説!

【内閣府公式】経営デザインシートの様式とダウンロード方法を徹底解説!

さて前回の記事で、経営デザインシートの重要性についてある程度ご理解いただけたかと思います。

そうなるとやはり、実際に経営デザインシートを作成するための第一歩として、内閣府から公式に公開されている各種様式とその入手方法などについて、詳しく知りたくなりますよね。また、「どの様式を選べばいいんだろう?」「どうやってダウンロードするの?」 といった疑問を持った方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、それらの疑問を解消し、企業の状況に合った様式を選び、未来をデザインするための準備をスムーズに始めるための具体的なステップを、わかりやすくご紹介します。ぜひ、今回の内容を参考に、経営デザインシート作成をスタートさせましょう。

目次

経営デザインシートの公式様式

内閣府のウェブサイトでは、企業の様々な状況に対応できるよう、複数の経営デザインシート様式が提供されています。これらの様式は、単なる書式ではなく、「事業性融資の推進等に関する法律」の施行や「企業価値担保権」の導入といった、新たな金融環境において企業価値、特に無形資産の評価を円滑にするための重要な「対話のツール」としての役割を担っています。貴社の事業規模や目的、現在の状況に合わせて最適な様式を選ぶことが、効率的な作成の第一歩となります。

1. 経営デザインシート(全社用)

この様式は、複数の事業を展開している企業、特にグループ経営を行う企業や、将来的に事業ポートフォリオの変革を考えている企業向けに設計されています。各事業間の関係性やシナジー(相乗効果)を考慮し、全社的な視点で事業ポートフォリオを把握し、将来の姿をデザインすることに特化しています 。全社的な目標達成のための経営戦略の方向性や基本行動指針、KPI(重要業績評価指標)などを記載することで、企業全体の羅針盤として機能します 。これは、金融機関が企業価値担保権の評価で求める「事業全体の価値」「将来キャッシュフロー創出能力」を俯瞰的に示す上で、特に有用な様式と言えるでしょう。

2. 経営デザインシート(事業用)

特定の事業に焦点を当てて分析・構想するための様式です。例えば、新規事業の立ち上げ、既存事業の転換、または特定の技術やサービスに特化した資金調達を検討している場合に適しています。その事業における資源の活用方法や価値創造メカニズムを深く掘り下げて把握し、デザインすることに特化しています 。事業のビジョン、コンセプト、解決しようとする社会的課題、事業目標、KPIなどを具体的に記載することで、個々の事業の成長戦略を明確にすることができます 。この様式は、金融機関が特定の事業の「実行可能性」「潜在的な無形資産価値」を評価する際に、具体的な情報を提供するための効果的なツールとなりえます。

3. 経営デザインシート(事業が1つの企業用)

単一の事業を行っている中小企業向けの様式です。企業理念から事業概要、経営方針までを統合して記載できるようになっており、全社的な視点と事業的な視点を融合して、一貫性のある経営をデザインできます 。多くの中小企業がこのタイプに該当するため、最も広く活用が期待される様式の一つです。金融機関や支援機関の皆様にとっても、この様式を通じて、中小企業が自身の事業をどのように捉え、未来をどのように描いているのかを理解するための共通言語となり得ます。

4. 経営デザインシート(簡易版)

経営デザインシートの全体像を把握しやすく、初めて作成する方にも特におすすめの様式です 。シンプルな構成で、主要な要素を効率的に整理できるため、まずはこの簡易版から着手し、経営デザインの思考プロセスに慣れることから始めてみるのも良いでしょう 。特に、事業性評価ツールの作成経験が少ない中小企業の経営者の方や、金融機関の若手担当者が顧客企業との対話の入り口として活用する際に、その簡潔さが大きなメリットとなります。

内閣府公式ウェブサイトからのダウンロード方法

経営デザインシートの公式様式は、内閣府のウェブサイトから誰でも無料でダウンロードできます。ここでは、その手順を以下の3つのステップで解説します。

入手するための3つのステップ

STEP
首相官邸HP「経営をデザインする」にアクセス

まずは、以下のURLから首相官邸の特設ページ「経営をデザインする」にアクセスしてください。このページは、経営デザインシートに関する情報が網羅されている公式ポータルです。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html

STEP
「経営デザインシートの様式」を探す

ページをスクロールダウンすると、「経営デザインシートの様式」という項目が見つかります。このセクション内に、PDF形式で各様式へのリンクが用意されています。

STEP
クリックしてダウンロード

必要な様式(例:全社用、事業用、簡易版など)をクリックすると、PDFファイルが自動的にダウンロードされます。

作成を補助する公式テキストも活用!

経営デザインシートの作成をより深く理解し、効果的に活用するために、内閣府は詳細な作成テキストも公開しています。これらは、シートの各項目をどのように考え、埋めていけば良いかのヒントが満載です。

  • 作成テキスト【入門編】:基本的な考え方や、シートの活用意義、記入のポイントなどが分かりやすく解説されています。初めて作成する方におすすめです 。https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/designsheet_text_01.pdf
  • 作成テキスト【応用編】:より実践的な活用方法や、複雑な経営課題への適用、他ツールとの連携など、深い内容が網羅されています。経営デザインシートをさらに活用したい方におすすめです 。https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/designsheet_text_02.pdf

これらのテキストも併せてダウンロードし、経営デザインシート作成の参考にすることをおすすめします。

各様式の主要構成要素をざっくり解説

経営デザインシートの各様式は、企業の規模や事業形態に応じて最適化されていますが、その根底にある主要な構成要素は共通しています。これらは大きく以下の4つのステップで、貴社の現状を整理し、未来を構想するための思考を補助します

(A) 企業理念/事業コンセプト

この最初のステップでは、貴社の存在意義、すなわち「なぜ私たちは存在するのか」という根源的な問いを深掘りします 。重視する価値観、企業が解決しようとする社会的課題、そして貴社ならではの企業文化や企業風土を明確に言語化します。これは、将来の経営戦略を策定する上での揺るぎない土台となり、金融機関や外部パートナーに対して貴社のパーパス(存在意義)を力強く伝える上で非常に重要です。

(B) これまでの価値創造メカニズム

次に、貴社がこれまでどのように価値を生み出し、事業を営んできたかを体系的に整理します。具体的には、以下の3つの要素を中心に考えます。

  • 資源(インプット): これまでに活用してきた内部資源(人材、技術、ノウハウ、設備など)や、外部から調達してきた資源(特定の仕入先、協力企業、ブランド力など)を明確にします。
  • ビジネスモデル: どのような仕組みで価値を生み出してきたか、誰と組み、どのように顧客にアクセスし、製品やサービスを提供してきたかを記述します。
  • 提供してきた価値(アウトプット): 誰に対して、何を、どのように提供してきたのか、その結果としてどのような価値を創造してきたのかを整理します。 このセクションでは、貴社を取り巻く「外部環境」や、これまでの事業活動で明らかになった「事業課題(弱み)」も同時に整理することで、現状を客観的に把握します。

(C) これからの価値創造メカニズム

このセクションは、経営デザインシートの核心とも言える部分です。(A)で明確にした存在意義を基に、将来の貴社が「どのような価値を創造したいのか」「どのようなビジネスモデルで事業を展開したいのか」「そのためにどのような資源を活用するのか」という「ありたい姿」を具体的に構想します。ここは、これまでの延長線上ではない、未来から逆算する「バックキャスト」思考が特に重要となります。金融機関が企業価値担保権の評価において重視する「将来キャッシュフロー創出能力」「将来の成長可能性」の根拠を示す上で、このセクションの具体性が鍵となります。

(D) これまでからこれからへの移行戦略

最後のステップでは、(B)で整理した現状(「これまで」)から、(C)で構想した未来(「これから」)へのギャップを埋めるための具体的な解決策と戦略を記述します。どのようなアクションプランを実行するのか、新たな資源をどのように調達するのか(例:自社開発、M&A、提携など)、KPIを設定し、リスクにどう対応するのかなどを明確にします。この移行戦略は、中小企業が金融機関に対して資金調達の必要性を訴え、その投資が将来の成長にどう結びつくのかを具体的に示すための「事業計画」の核となる部分です。

まとめ:未来をデザインする経営デザインシートで、新たな一歩を!

本記事では、内閣府が提供する経営デザインシートの各種公式様式とそのダウンロード方法、そして各構成要素の持つ意味合いを詳しく解説しました。

「事業性融資の推進等に関する法律」の施行や「企業価値担保権」の導入といった、現代の金融環境の変化は、企業が自身の事業価値、特に目に見えない無形資産の価値を明確に伝え、未来をデザインすることの重要性を一層高めています。経営デザインシートは、まさにこの新しい時代の要請に応えるための強力なツールなのです。

まずは内閣府の公式ウェブサイトから、ご自身の企業や関わる組織の状況に合った経営デザインシートの様式をダウンロードしてみましょう 。特におすすめは、全体の流れを把握しやすい「簡易版」です。

次回の記事では、この「簡易版」の具体的な書き方・記入例について、初心者の方にも分かりやすく徹底解説していきます。

経営デザインシートは、単なる書類作成ではなく、未来の経営を「見える化」し、関係者との「対話」を深めるための羅針盤です。ぜひ、次回の記事も参考に、貴社(または支援先)の未来をデザインする新たな一歩を踏み出してください。お楽しみに!

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この記事を書いた人

西本文雄のアバター 西本文雄 管理人

長年大手電機メーカーで培った技術と市場洞察を活かし、中小企業診断士として独立後15年、経営コンサルタントとして成長戦略と課題解決を支援。しかし、事業性評価に基づく資金調達の難しさに課題を感じ、「事業性評価ツールマガジン」を構想。この情報サイトが、中小企業経営者や金融機関、支援者の皆様の未来を拓く一助となれば幸いです。

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